mercredi 9 juin 2010

ロレアルのデモンストレーション

 今日はロレアルのデモンストレーションがありました。
Shu UEMURAのイメージの一環で茶道のお点前を披露します。 場所は今日もマドレーヌのとらやさんで。 準備をしていたらとらやの社長さんがひょっこりとお店にいらっしゃいました。 少しお話をさせて戴いたのですが、なんとサンパティック! とらやの社長さんだったら、もっと何というか… オジサンっぽいのかと思っていたのですけど。。  やっぱり老舗の和菓子屋でパリに店を出そうというくらいなので、古い感覚の人ではないのでしょう。 
 デモンストレーションの方はというと、約束の時間になってもお客様方はみえず、とらや側もオーガナイザーのChico SHIGETAさんも焦ってきた頃、40分遅れでお客様方が到着。  私もやはり焦りました。 だって、あと20分でとらやを退散しないといけないのですもの …
 『焦らない!』と自分に暗示をかけてスタートでしたが、始まってしばらくした時、急にお店の外が急に騒がしくなりました。 とらやさんはSaint-Florentin通りに面していて、そんなに大きな通りではないけれど交通量は結構あり、一流ブティックが立ち並ぶサントノーレと交差しているような通り。 店の表で車の運転手たちが喧嘩を始めました。  『ブブブー』っとクラクションと怒鳴り声の嵐・・・
落ち着いて・落ち着いて と自分に言い聞かせているのだけど、時間がおしているのとあまりの騒音にやはり心は乱れます。 そうなるとやっぱり柄杓で釜から湯を入れようとする時に『ポタッ』と湯をこぼしてしまう。 ちょっと失敗だったかな? と思いもう一度してもまたこぼしてしまう。 ああ、やっぱり私の心は雑念だらけなんだ… と反省。。
 お点前の後は少しお客様とお話をします。 よくある質問が、『何の為に茶道をするの?』 今回は反省も含めてこんなお話をしました。

 慌しい日常で、パリのような大都会に住んでいてついつい忙しさや、イライラに自分が呑み込まれてしまう時がある。 それでも、少しでも自分の中の核をきっちりと築いていけるように茶道の稽古をしているのだと思う。

 今日のお話は、皆さんとても共感してくれました。 今までは、『どこか自分たち(フランス人たち)とはかけ離れた東洋の夢のような話』という感じだったのだけど、今回はお客様と私たちが一体になって空間にいる気がした。  茶事のクライマックスにいるようですごく心地よかった。  自分の失敗から始まったこんな話だけど。。
 
 それだけ都会暮らしはストレスフルなものなのだと思う。 都会で暮らし、女性でも男性と同じように仕事をこなしていくフランス人女性。 こんな私の失敗の弁解のような話に共感を持ってくれる彼女たち。 私が伝えたかったのは、『そんなに頑張らなくてもいいやん』ってことだったのかもしれません。