lundi 14 décembre 2009

Noélの茶事

12月に入るとパリはすっかりクリスマスムード一色になります。 Avenue Champs Elyseesは凱旋門からConcordeまで街路樹に白とブルーのイルミネーション。あちこちにMarche de Noelが立ち、パリが一番華やかになる時期です。
Yu-an稽古場ではそんな雰囲気の中でクリスマスの茶事を致しました。
様々な状況に応じて茶事を致しますが、今回の茶事は「大人のNoel」として室礼をととのえます。 キャンドルをたくさん点けて、初座は練香の代わりにシナモンの香りのアロマオイルを焚きます。
軸にはグレゴリオ聖歌の挿絵装飾を軸として仕立てました。
亭主はSHKさん。彼女は私が稽古を始めた時からいらしています。実家が日舞のお家元なだけあって、立ち居振る舞いが美しいです。全くゼロからのスタートだったのに、茶事の亭主を立派に務めてくれるようにまでなりました。
折角Noelの季節なのだから、贅沢な食材を使おうということで、向付はアヴォガドと洋梨のトリュフ添え 。
トリュフはマドレーヌ寺院の裏にあるMaison de Truffeで。
http://corporate.maison-de-la-truffe.com/Pages/index.html
他のお店はよく知りませんが、こちらのトリュフは一級品です。 お店に足を踏み入れると、モワッとトリュフの香りが。 実は昨年のNoelの茶事ではトリュフのスープをつくりましたが、いまいちトリュフ独特の味を出せなくて残念な想いをしました。 何と言っても値段が高いので練習もできないし・・・ 
ぶっつけ本番でしたが、今回は大成功。 ブルゴーニュ産のトリュフとアヴォガド+洋梨のやさしい味がちょうどいい具合です。 こうして和洋折衷の懐石が進んでゆきます。
懐石のクライマックスは八寸。
そもそもは、八寸角の杉のへぎ木地の角盆のこと。やがて、それに盛られる酒肴のことを意味するようになります。茶事では海のものと山のものを合わせて二種盛ります。客と亭主は海と山の産物に感謝しながら酒を酌み交わす、ひとつの儀式であるといえます。 酒にはChateau le Fage 2007の白。 SHKさんのご主人と私はワインの趣味が似ているのですね。 たまたまご主人がマルシェでみつけたこのワイン、私が一口戴いたときから大ファンになって、一緒に取り寄せたものです。

八寸は白うなぎとしいたけ。 
最近はShii-Takeという名前でマルシェに並ぶようになりました。

湯斗が済むと懐石の最後はお菓子
銘は『もみの木』
ここで客は中立ちをして、床を軸から花に変えます。 落ちついた気分で濃茶を。(内心は焦っていたかな?)
花には大振りのアマリリスを。

lundi 23 novembre 2009

霜月の茶事

11月は炉開きとされていますが、利休居士は『柚子の色づく頃に』と言ったそうです。 パリではマロニエの葉が落ちる頃、もしくは宗旦の教えのように『吐く息が白くなる頃に』というのが適当でしょうか。
私たちの師である、Jack Convery宗好先生の弟子も今やインターナショナルに。
Nadjaはスイスからパリに音楽留学中、Lauraはパリジェンヌですが今はドイツでお仕事をしています。
私とNadjaは日本で一度だけ、Lauraは初めてお目にかかりますが、こういう機会に茶事は最適です。
懐石料理はごくシンプルなものにしました。 霜月の利休が何となく身近に感じられる季節に、フランスとスイスのお客様をお迎えするにあたって、限りなく侘びたものでおもてなしを致しました。
Nadjaと私は一緒には稽古しなかったものの、同じ師に教えを仰いだ同士。 動きが似ているような気がします。
二人で濃茶を。
こうして外国人(ここでは私が外国人ですが・・・)が濃茶を召し上がるのを見ていると、茶道はもはや日本の文化だけではないということを感じます。  一つの茶碗を回して飲む ということは和が輪になるというのでしょうか。
Nadjaga薄茶の点前を。

Lauraもお茶を点てるのに挑戦

花入れとお花を戴き、早速生けさせていただきました。
今日は何となく花は飾らず備前の香合だけを飾っていたのですが、この花入れとオレンジのお花、何の違和感もなくしっくりとしつらい合っていました。






jeudi 19 novembre 2009

茶道とモンテソーリ教育

大変ご無沙汰して申し訳ありません。
前回のブログから半年以上・・・ それなりに活動していたのですが、日本に行ったりアフリカに行ったり、pcが壊れたりという状況でした。

今回、またブログを書きたいと思ったのは、今読んでいるモンテソーリ教育の本について。
私も一児の母として、子供の教育にはとても興味があります。
モンテソーリの本を読んでいて、モンテソーリ教育と茶道とのつながりに気付きました。
繋がりというよりもむしろ茶道=モンテソーリ教育なのかもしれません。

・お盆に物を入れて運ぶこと
・水をコップに注ぐこと
・布を絞ること  等という当たり前の動作から

・秩序を大切にしてあげること
・物事の順番を考えさせること
・挨拶をさせること
・自分でさせること  これらも当たり前のように見えますが、実はできない子供が多い。 というよりも、それをさせてあげない親が多いようです。
子供は自分で秩序を大切にしたいのに、親は自分の秩序を子供に押し付ける。
挨拶をしたくても、「この子は恥しがり屋だから・・・」と言われては恥しがるしかありません。

お茶の稽古では、一回の稽古で何度も挨拶をします。
まず稽古場に来たら先生に挨拶。もちろん扇子を持って、真のお辞儀です。 それから社中に挨拶、稽古を始まる前・終わった後。 客でいてもお菓子を戴くとき・お茶を戴くとき。
数え切れません。

私はこれまで「茶道は感性を磨く修行だ」と思っていたし、生徒さん方にもそう教えてきました。でも、子供の教育とこれだけ大きく関わっているとは思っていなかったのです。
今回茶道の稽古の中で子供への大切な教育がたくさんあるのだということに気付きました。
次、私がしなければいけないことは、この発見を行動に移すこと。
茶道とモンテソーリ教育の関連性をどんどん広めていきたいと思いました。

lundi 6 avril 2009

7マレ高校でデモンストレーション

土曜日は高校で日本語教師をしていらっしゃるRさんの学校でデモンストレーションでした。

Rさんと日仏ハーフのお嬢様がお稽古にいらしたのは去年の冬、お嬢様のゆきちゃんはフランスの現地校に通っていて、どんどん日本文化を忘れてしまっていることを危惧したRさんはお嬢様に茶道の稽古をさせたいということでいらっしゃいました。
今ではお稽古の日は家に帰ってパパに『お先に』とか『お相伴いたします』なんて、まさか日本でも7歳の子供が使わないような綺麗な言葉を使って、ご両親を驚かせてくれるようです。


学校に到着すると、生徒さんがたは声をそろえて 『高岡裕子先生、こんにちは。』 『どうぞ宜しくおねがいします。』 と言ってくれました。みんなこの日のために練習していたのでしょう。 すごく嬉しくなってしまいました。
この日は学校見学の日でしたので学生やご両親がたくさんいらしていましたが、11時からの『茶道デモンストレーション』はたくさんの方が見に来てくださって大盛況でした。
これもマンガのお陰でしょうか、フランスの高校生たちは日本語を覚えるのも一つのファッションのようです。 男の子たちは、「先生、ナルトって知ってる?」とか、私の知らない日本のマンガの話などをしてくれました。 マンガも、もう立派な日本文化なのですね。

自分達の名前をカタカナで書いたり、『愛』なんて字は難しいのにも関わらず上手に書けています。

『私は日本が好きです。』なんて嬉しい言葉!

剣道をしているセバスチャン。
まだ始めたばかりなそうですが、立派に胴着を着ていますね。



vendredi 27 mars 2009

女の浪漫




よく『男のロマン』なんて言葉を耳にしますが、『女のロマン』は?

私にとってそれはマカロンです。

10年も昔、大学生だった私が始めてパリに来たとき。 ラデュレで丸くて可愛いマカロンを食べたのですね。 周りがパリっとしていて中はふわふわ。 しっとりとしたクリームの絶妙なバランスに感激したものです。 当時マカロンなんてラデュレしか知らないものだから、初めにして最高級maisonのものを食べていたというわけです。
旅行から帰り、マカロンの虜になった私はあちこちの書店でマカロンのレシピを探してあれこれ試すのですが、どういう訳かふっくらと膨らまないの。 高校生の頃にお菓子作りにハマり、一通りのレシピと失敗は経験済みの私、何故ふくらまないの? 何故ニョキニョキと足がはえてこないの?

その後マカロンはマカロン屋にまかせようと10年が過ぎ、いつの間にかパリでお茶の先生をしていました。
もちろんお稽古のお菓子もよくマカロンを使います。
ピエールエルメやラデュレは大きさもちょうどだし見た目もかわいいのでお茶のお菓子にぴったりなのですね。

先日、日本舞踊の稽古の後、Sさんが作ったというマカロンを戴きました。
素人が作ったとは思えない、周りはぱりぱり・中はふわふわ。 私もやってみようとその日のうちにマカロンに挑戦。 あの時とは違い、今はcookpadという最強の見方がいます。

作る工程で大切なのはマカロナージュをするということ。
マカロナージュって? と思うでしょ。 マカロンを作るためだけの用語なのです。 
しっかりとマカロナージュをして、マカロンをオーブンに入れて・・・ ぐるぐる回るマカロンをみていると・・・ ニョキっと足がはえてきました!!!
しっとりとしたクリームをはさむと、憧れの中はふわふわ・周りはぱりぱりのマカロンが!!!!

来週は旦那様の家族がパリに来るので、手作りのマカロンを出したらみんなビックリするかな。

vendredi 13 mars 2009

花の稽古とパリ散策





今日は裏千家のお稽古。 普段は慌てて娘を託児所に迎えにいかなければいけなかったので、のんびり散歩をしている時間もなかったのですが、早く終わったのでブラブラと歩いてみることにしました。
そしたら何と! 
St-Michel Nortre Dameまで徒歩15分くらいだったのです。 St-Louis島には友人の家があるので、懐かしい通りです。Boulangerieでパンを買って公園で本を読みながら春のひと時をのんびりと過ごせるのはどのくらい久しぶりなことでしょう。 




そして昨日は花の稽古日でした。 茶室に花は欠かせないものということで、月に一度は花の生け方を指導させていただきます。 茶花というのは『季節の姿をかりる』というもの。生け花ではないのでごくシンプルに。とは言え、人さまにお教えするのに花一輪では面白くないので私流に若干豪華に。 今月は桃の節句もあり、新しい春の息吹を感じるような枝を見つけました。 花に続いては茶箱『卯の花』の稽古です。皆様が生けてくださった花をあちこちに飾って稽古です。 
何とも華やかで嬉しい気分になります。

samedi 7 mars 2009

お雛まつり


3月3日はお雛祭り、女の子の日です。
この日はちょうどお稽古だったので、生徒さんのお友達やお嬢様をお招きして、稽古兼お茶会でした。
Reserve pour les filles のお茶会は華やかで楽しいものです。
YちゃんとKちゃんは着物で来てくださって、みんなで灯りを点けましょ ぼんぼりに~♪ と唄いました。

あかりをつけましょ ぼんぼりに お花をあげましょ 桃の花
五人はやしの笛太鼓 今日は楽しい雛祭り

お内裏さまと お雛さま ふたり並んで すまし顔
お嫁にいらした 姉さまに よく似た官女の 白い顔

金の屏風に うつる日を かすかに ゆする 春の風
少し白酒 召されたか 赤いお顔の 右大臣

着物に 着替えて 帯しめて 今日は私も 晴れ姿
春の弥生の このよき日 なにより嬉しい 雛祭り

なんて美しい言葉でしょう。 源氏物語の世界を創造させられますね。

lundi 2 février 2009

初釜







真台子で点前。 これは最も格式の高い棚でお正月や結婚式などに使うものです。


鏡餅に干し柿を置きますがどうやらこれは関西の風習なそうで、関東のほうでは干し柿はないようです。
フランスというにも関わらず、お稽古の皆さんは着物で出席して下さって、何とも華やかな一日になりました。 
床飾りは柳
軸は『騎牛帰家』
睨み海老
騎牛帰家とは、『十牛図』のワンシーンで、人が禅の道に入り、悟りを知るところから悟りを自分のものにするまでの道のりの話です。
私にとっての十牛図は茶の道ですが、みんなそれぞれの十牛図があると思うの。
この一年の始まりにみんなで十牛図を考えましょうということでこの軸を選びました。
濃茶にお食事、日本酒、日本舞踊と晴れやかな一日でした。

Introduction


Parisで茶道をやっています。 
アレ? って思うでしょ。それが意外と合うのです。 
石畳の町並みを着物で歩く。 
茶席にLa Dureeのマカロンを出す。
ホラ、日本文化ってフランス文化と似ているでしょ。
芸術品を大切にする心、美食の文化、オシャレ心と好奇心。
こんな感じでフランスでどのようにお茶が親しまれているかを綴っていきたいと思います。