mardi 24 juin 2014

日日是好日 ~お稽古メンバーブログ2~

Sさんが6月末でパリを去る。裕庵にとって欠かせない存在のSさん。お昼チームを引っ張って下さった頼りになる先輩。
5月、アトリエフジタでのデモンストレーションを終えてほっとした頃、「茶事をするのは時間的に厳しいので、Sさんの送別会として且座をしましょう。」と先生から提案。

七事式の且座では、亭主と半東だけではなく、客も花、炭、香、と事前に決められたそれぞれの役割を担う。
経験の浅い私たちは先生からじっくり所作の指導を受け、全体の流れをつかむ。Sさんは亭主。私の担当は正客でお香。香を聞くのは初めての経験。

当日。朝から快晴。
心地よい初夏の空気の中、Sさんをイメージしてお香を選び、軸を掛け、花を揃え、そして道具を棚に飾っていく。水屋で頂くお菓子は手作りの水無月。最後に全員着物をまとう。

席入りして、総礼。一気に気持ちが引き締まる。
亭主の所望で式が進んでいく。丁寧に挿された花、初めて見る先生の炭手前、ドキドキしながら焚くお香。温まった香炉を持ち上げて試し聞きをすると、柔らかい香りに緊張が解ける。
そして亭主であるSさんが濃茶を練る。凛とした姿に全員が見入る。水を打ったような静寂の中、茶筅の音が響く。
二度とない、かけがえのない時。
茶碗の赤とお茶の緑が目に鮮やかで、本当に美しい。ひとくちひとくち味わって頂く。
半東が亭主に薄茶を点てる。
ほっとする気持ちと、あー終わってしまうという寂しさで胸がつまる。

且座は自分の役目に没頭するだけではなく、皆との調和を考えながら一つの空間を作り上げる。そして最後まで責任を持って役割を全うする。
いつもの稽古とは違った風景で、周りを見ることができる。仲間の新しい一面を知ることができ、役割の本質を理解することができる。

反省点は多々あれども・・・この時間を皆で過ごせたことに感謝し、Sさんへのはなむけの会になったのではないかと。自画自賛。
先生セレクトのお軸は「日々是好日」-どんな雨風の強い日でも、全身全霊で生きましょう。
送る側、送られる側、決して生徒を油断させない、素敵な先生であります。
ITO

1 commentaire:

Yu an Paris a dit…

数回に渡る且座の稽古が実を結びましたね。 お香もちゃんと香って最高の会でした。
お茶って不思議です。 皆がSさんのことを思い、またSさんは皆のことを想う。
その心遣いがいい会を造る。
カタに心を流し込むというのがこういうことなのかな、と思いました。